香りの散歩道


上喜撰

墨絵・朝野泰昌
「朝野家 香りの散歩道」
この番組は、山陰 湯村温泉、朝野家の提供でお送りします。

新茶のみずみずしい香りをかぐと、初夏の訪れを感じませんか。

かつて、上流階級の嗜(たしな)みだった日本茶を、一般庶民も味わうようになったのは、江戸時代の終わりごろ。
当時、上等な煎茶の代名詞とされていたのが、「喜撰(きせん)」というお茶です。

喜ぶに撰(えら)ぶと書く、このお茶の中でも、味と香りが最上級なものは、「上喜撰(じょうきせん)」と呼ばれていました。

幕末に、ペリーが黒船で浦賀にやって来たとき、こんな歌が流行りました。
世の中をひっくり返すほどの出来事を、洒落や皮肉を織り交ぜて、五・七・五・七・七で表現した狂歌(きょうか)です。

『泰平の 眠りを覚ます 上喜撰たった四(し)はいで 夜も寝られず』

上等なお茶の「上喜撰」には、今で言うカフェインがたっぷり含まれ、4杯(よんはい)も飲めば目がさえてしまいます。
これに黒船の「蒸気船」を引っかけて、たった4隻(よんせき)でやって来た外国船のために、夜も寝られないほど大騒ぎになった、泰平の世の混乱ぶりを笑いにしたのです。

香り高いお茶を飲むときには、そんな時代があったことに、思いを馳せてみませんか。


「朝野家香りの散歩道」この番組は、山陰 湯村温泉、朝野家の提供でお送りしました。

*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。

5月分は現在放送中に付き、もう少々お待ちください。


『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、

毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞に掲載されます。



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