香りの散歩道


かしわばやしの夜

墨絵・朝野泰昌
「朝野家 香りの散歩道」
この番組は、山陰 湯村温泉、朝野家の提供でお送りします。

夜空に輝く月が、ひときわ美しく見える季節です。
みなさんは、月を描(えが)くときに、どんな色を使いますか。
「黄色」と答える方が多いかもしれませんね。

宮澤賢治の童話『かしわばやしの夜』では、月がさまざまな色彩で描かれています。
柏(かしわ)の木が月夜に歌合戦をするという、なんとも不思議なこの物語は、月の色が変わるたびに場面が変わっていきます。

柏の木が、この日最初に見た月の色は、こうでした。
東のとっぷりとした青い山脈の上に、大きなやさしい桃いろの月がのぼったのでした。

そして、しばらくすると・・・お月さまは、いまちょうど、水いろの着ものと取りかえたところでしたから、そこらは浅い水の底のよう、木のかげはうすく網(あみ)になって地に落ちました。

月の色は、「桃いろ」から「水いろ」に変わったのです。
それから、月の光はぱっと青くなり、真珠のように少しおぼろになりました。
物語が終わるころ、月はもう青白い霧に隠されてしまい、ぼおっと円(まるく)見えるだけになるのです。

どれもきっと、宮澤賢治が見上げた月の色なのでしょうね。
この秋、みなさんの目には、どんな色の月が見えるのでしょうか。


「朝野家香りの散歩道」この番組は、山陰 湯村温泉、朝野家の提供でお送りしました。

*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。

9月分は現在放送中に付き、もう少々お待ちください。


『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、

毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞に掲載されます。



香りの散歩道TOPへ
 /  TOPへ  / 歳時記へ