香りの散歩道 |
墨絵・朝野泰昌 |
「朝野家 香りの散歩道」 この番組は、山陰 湯村温泉、朝野家の提供でお送りします。 |
夏の飲み物といえば、何を思い浮かべますか。 厨西日(くりや にしび)あすの麦湯(むぎゆ)の麦を煎る 西日が差しこむ台所で、あした飲むための麦湯の麦を煎っている・・・ 香ばしい匂いまで伝わってくるような、夏の暮らしのひとコマです。 作者は、明治生まれの俳人・高浜虚子(たかはま・きょし)。 麦茶がまだ、麦湯と呼ばれていた時代の句です。 平安時代にはすでに、貴族の間で飲まれていたという麦湯。 戦国武将も好んで飲んだといわれ、江戸時代になると庶民の口にも入るようになりました。 夏の夕暮れ、江戸のまちに麦湯の屋台が店開きをすると、そこはたちまち憩いの場になったそうです。 屋台の縁台(えんだい)に腰掛けて、麦湯を飲みながらおしゃべりに花を咲かせる夕涼み。 平仮名で「むぎゆ」と書いた行燈(あんどん)の灯りが、夕闇の路地に浮かびあがり、夜遅くまで賑わったとか。 まるで江戸っ子が集うオープンカフェのようですね。 上野や浅草などの下町では、明治時代になってからも、麦湯の店が通りに立ち並んでいたそうです。 昭和30年代になると、麦茶という呼び名が広まり、一般家庭に普及した冷蔵庫で、冷やして飲むようになりました。 香ばしい匂いに、懐かしさを感じる方もいらっしゃるでしょう。 自然の恵みがカラダを潤してくれる、麦茶でこの夏も元気にお過ごしくださいね。 |
「朝野家香りの散歩道」この番組は、山陰 湯村温泉、朝野家の提供でお送りしました。 |
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毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞に掲載されます。 香りの散歩道TOPへ / TOPへ / 歳時記へ |