香りの散歩道


如月

墨絵・朝野泰昌
2月の別名は「如月(きさらぎ)」です。

語源についてはさまざまな説があり、寒さで衣(ころも)を更に重ね着するから、 衣更着(きさらぎ)という呼び名になったとか。
また、旧暦の2月は今の3月頃の気候なので、草木が生えるという意味から来ているのではないか、 とも言われています。

では、この如月という言葉を詠み込んだ、 有名な和歌を紹介しましょう。

願はくは 花の下にて 春死なむ その如月の 望月の頃 

(ねがわくは はなのしたにて はるしなん そのきさらぎの もちづきのころ)

願いが叶うならば、桜の花が咲く春に、その木の下で死にたいものだ。 如月の満月の頃に・・・という歌です。
作者は、平安時代から鎌倉時代にかけて活躍した、 僧侶で歌人でもあった西行法師(さいぎょうほうし)。

如月の満月の頃とは、 お釈迦様が亡くなられた2月15日を意味しているそうで、「自分もそのようにありたい」という、 西行法師の想いが伝わってきます。

この歌に詠まれている如月は、桜の花が咲く春。
ということは、如月の語源は、重ね着という説よりも、
草木が生える頃というほうが、 季節感としてしっくりきそうですね。

西行法師は歌で願った通り、 桜の花が咲く如月に、この世を旅立ちました。
自然を愛し、歌を愛した、 香り高い生涯だったのではないでしょうか。


*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。


『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、

毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞に掲載されます。



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