香りの散歩道 |
墨絵・朝野泰昌 |
今日は、お盆の「送り火」を焚いて、ご先祖様をお見送りする日です。 地域や宗派によってさまざまな風習があるようですが、なかでも、京都五山(きょうとござん)の送り火は有名ですね。 東山(ひがしやま)に「大」の文字が浮かびあがり、つづいて「妙(みょう)」「法(ほう)」の文字。 そして、船形(ふながた)、左大文字(ひだりだいもんじ)、鳥居形(とりいがた)と、六つの送り火が夏の夜空を彩ります。 自宅で送り火を焚くときは、焙烙(ほうろく)という素焼きの皿に「おがら」をのせて燃やします。 「おがら」は、古来より神聖な植物とされてきた、麻の茎の皮をはいで乾燥させたもの。 「麻幹(あさがら)」とも呼ばれます。 これを燃やした清らかな煙にのって、ご先祖様の魂は、あの世にかえると言われてきました。 また、世界遺産の白川郷にある合掌造りの茅葺屋根にも、「おがら」が使われていることをご存じでしょうか。 茅葺屋根の下地になる一番下の層に、「おがら」が敷き詰められているのです。 軽くて、湿気を吸収する吸湿性に優れ、嫌な匂いを消してくれる消臭効果もあるので、建築材料として適しているのでしょう。 麻は、穢れ(けがれ)を祓う植物だと言われているので、あらゆる災いから家を守ってくれる、という意味もあるそうです。 今では、貴重な材料になった「おがら」ですが、古き良き風習はこれからも受け継いでいきたいですね。 |
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毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞に掲載されます。 香りの散歩道TOPへ / TOPへ / 歳時記へ |