香りの散歩道 |
墨絵・朝野泰昌 |
八月になると、ふとした瞬間に、子どもの頃の夏の思い出がよみがえってきませんか。 葉っぱの月と書いて「葉月(はづき)」。 これは、八月の別名です。 太陽の光を浴びて、緑の葉っぱがイキイキと生い茂る光景を、思い浮かべた方もいらっしゃるでしょう。 けれど、旧暦の八月につけられた呼び名ですから、今の季節感でいうと、葉月は秋。 赤や黄色に色づいた葉っぱが落ちはじめる月、「葉落ち月(はおちづき)」が語源といわれています。 今の暦では夏ですから、なかなかイメージしにくいかもしれませんね。 明治生まれの俳人、鈴木真砂女(すずき・まさじょ)は、葉月という季語を使って、こんな句を詠んでいます。 ひるよりも 夜の汐(よのしお)にほふ 葉月かな 昼の海よりも夜(よる)のほうが、潮の匂いを強く感じる八月だなあ・・・という歌です。 同じ場所を歩いていても、昼間と日が暮れてからでは、感じる匂いがどこか違う。 そんな経験は、みなさんもありませんか。 夜は、目に映る景色や耳に入ってくる音が、日中よりも少ないので、香りに反応する嗅覚が、敏感になるのかもしれませんね。 みなさんの思い出の中にある八月には、どんな香りが漂っていますか。 |
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毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞に掲載されます。 香りの散歩道TOPへ / TOPへ / 歳時記へ |