香りの散歩道


檜扇

墨絵・朝野泰昌
「朝野家 香りの散歩道」
この番組は、山陰 湯村温泉、朝野家の提供でお送りします。

今日のお相手は、私、木村匡也です。
京都の街が、祇園祭で賑わう7月。
今から1100年以上前の平安時代に、都で疫病が流行したとき、当時の国の数と同じ66本の矛(ほこ)を立て、疫病退散を祈願したことに由来するお祭りです。

毎年7月1日に始まり、31日の疫神社夏越祭(えきじんじゃ なごしさい)で幕を閉じる。
この祇園祭の期間中、町家の軒先や床の間などに、魔除けとして飾られる花があることをご存じでしょうか。

檜(ひのき)の扇(おうぎ)と書いて「檜扇(ひおうぎ)」。

宮中の儀式などで使われていた扇と、同じ名前を持つ花です。細くて長い葉っぱが重なり合う姿が、檜の薄い板を何枚も重ねてつくられた扇を、広げたときの様子に似ていることから、その名がついたとか。

なんとも風流な見立てですね。

花の色は、明るいオレンジや黄色など。
赤いまだら模様のある6枚の花びらが、緑の葉っぱに映えて綺麗です。
そのうえ、暑さにも寒さにも強く、病気にかかりにくいことから、魔除けの花として飾られるようになった、と言われています。

けれど、最近は京都でも、檜扇の花を知らない人が増えているとか。
「祇園祭に飾る風習を、なんとか伝えていこう」と、子どもたちが、この花を大切に育てている小学校もあるそうです。

もちろん、檜扇は京都だけのものではありません。
先人たちが信じたそのチカラで、みんなを守ってくれる花になるといいですね。

*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。


『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、

毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞に掲載されます。



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