香りの散歩道 |
墨絵・朝野泰昌 |
甘くて、優しくて、華やかさもある香りが、しあわせな気分にしてくれる果物、「桃」がおいしい季節になりました。 やわらかい実をつぶさないよう、そっと手に取って、皮がスーッと剥けたときは、うれしくなりませんか。 子どもたちは、何度か失敗するうちに、絶妙なチカラ加減を覚えていくようです。 きれいに剥ければ、傷ひとつないぽってりとした実を食べることができる。そう思うと、扱いも丁寧になりますよね。 桃は、種類によっていろいろな呼び名があります。 黄色い桃「黄桃(おうとう)」は、弥生時代に中国から伝わりました。 当時の黄桃は、甘みが少なくて堅い桃だったので、眺めて楽しむ鑑賞用に栽培されることが多かったそうです。 明治時代になると、水(みず)の蜜(みつ)の桃と書く、「水蜜桃(すいみつとう)」も中国から渡ってきました。 水のようにみずみずしく、蜜のように甘いことから、その名がついたと言われています。 今、私たちが食べている、日本生まれのおいしい桃は、この水蜜桃を品種改良してつくられたものだとか。 なかでも、岡山県は、水蜜桃を改良して明治34年に誕生した、白い桃「白桃(はくとう)」の一大産地。 桃太郎の伝説が伝わるこの地に、「どんぶらこどんぶらこ」とやって来たわけではありませんが、おいしい桃こそが地域の宝ものなのかもしれませんね。 |
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