香りの散歩道 |
墨絵・朝野泰昌 |
立ったり、座ったり、歩いたり。 立ち居振る舞いの美しさを、初夏に咲く花の姿に例えた言葉があります。 「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」 すっと伸びた茎の先に、大輪の花を咲かせる芍薬は、凛とした立ち姿が美しい花ですよね。 けれど、立てば芍薬の「立てば」には、別の意味があることをご存じでしょうか。 「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」は、もともと東洋医学の漢方にまつわる言葉で、生薬の使い方を表しているそうです。 「立てば」とは、イライラとして気が立っている状態のこと。 そんなときには、芍薬の根を生薬として用いると、気分が落ち着くと言われているそうです。 座れば牡丹は、座ってばかりいると血液の流れが悪くなることを表しています。 そんな状態を改善してくれるのは、牡丹の根の生薬だとか。 そして、歩く姿は百合の花。 風に吹かれて花がゆらゆら揺れるように、不安定な様子で歩いている状態を表しています。 そんな人には、百合の根の生薬がいいですよ、と教えてくれているのです。 もちろん、専門家に処方してもらうのですが、昔ながらの暮らしの知恵として、ちょっと意外な言葉の意味も覚えておきませんか。 |
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毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞に掲載されます。 香りの散歩道TOPへ / TOPへ / 歳時記へ |