香りの散歩道


天下の御意見番

墨絵・朝野泰昌

来週の月曜日は「敬老の日」です。
長年にわたって社会に尽くしてきた、人生の先輩たちを敬う日。

せっかくですから、人生経験豊かなおじいちゃんおばあちゃんの話を、じっくり聞いてみてはいかがでしょう。
思い出話だけでなく、悩みごとがあれば相談して、御意見番になってもらうのもいいですね。

時代劇には、豊富な知識と経験を持って、誰にでも遠慮なく意見を言う、御意見番がたびたび登場します。
なかでも、「天下の御意見番」といえば、大久保彦左衛門(おおくぼ・ひこざえもん)。

徳川家康(とくがわ・いえやす)の時代から、秀忠(ひでただ)、家光(いえみつ)と、三代の将軍に仕えた人物です。
旗本でありながら、大名をしのぐ発言権を持っていたそうで、その逸話が芝居や講談などで大袈裟に脚色され、いつしか「天下の御意見番」と呼ばれるようになったとか。

大久保彦左衛門は、鍋奉行(なべぶぎょう)も務めたと言われています。
鍋の仕切り役として腕をふるう人のことを、鍋奉行と呼びますが、これは実際にあった江戸幕府の役職名です。
当時の鍋奉行は、将軍が鍋料理で客人をもてなす際に、接待をする責任者でした。
食材を調達する仕事も任されていたそうです。

その逸話から、時代劇では、彦左衛門のもとで活躍する義理人情に厚い魚屋、一心太助(いっしん・たすけ)という架空の人物も登場して、人気者になったのです。

「天下の御意見番」が、どんな料理でもてなしたのか。
食べてみたいものですね。


*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。

9月分は現在放送中に付き、もう少々お待ちください。


『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、

毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞に掲載されます。



香りの散歩道TOPへ
 /  TOPへ  / 歳時記へ