奈良の都で日本の宝を愛でる、『正倉院展』が今年も開催されました。 正倉院で1300年にわたって守り伝えられてきた宝物(ほうもつ)が、一般公開される展覧会です。 今年はコロナ禍ということで、事前予約による入場制限などが行われましたが、こんな時だからこそ人々に希望をもたらすような展覧会を・・・と開催されることになったそうです。 きらびやかな工芸品と並んで、今回注目されたのは、当時の貴重な薬、正倉院薬物(やくぶつ)の展示です。 正倉院に数多くの薬が納められた奈良時代は、疫病が流行った時代でもあり、病に苦しむ人々を救いたいという願いが込められていました。 なかには、薬とは思えないようなものも。それは、重さが4.7キロもある象の歯の化石です。 五色(ごしき)の龍の歯「五色龍歯(ごしきりゅうし)」と名づけられたこの薬は、痛みをやわらげ、精神を安定させると言われていたそうです。 人々の幸せを願って、これらの薬を奉納した光明皇后(こうみょうこうごう)は、「病に苦しむ者があれば、取り出して使いなさい」というメッセージを残されました。 その言葉通り、後の世には正倉院の薬で救われた人もいたそうです。 今年の『正倉院展』は終了しましたが、来年は、多くの人が訪れることができる展覧会になるといいですね。
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