香りの散歩道


春のお彼岸は「牡丹餅」


墨絵・朝野泰昌



今日は「春分の日」ですね。
昔から、春の訪れを祝う日であり、お彼岸の中日でもあります。

牡丹餅の昼夜を分つ彼岸哉
(ぼたもちの ちゅうやをわかつ ひがんかな)

明治の俳人、正岡子規(まさおか・しき)の句です。

昼夜を分つ、つまり昼と夜の長さがほぼ等しくなる春分の日には、牡丹餅が付きものであることを詠んだ句でしょうか。

春のお彼岸は「牡丹餅」で、秋のお彼岸は「御萩(おはぎ)」を供えるという風習は、みなさんもご存じでしょう。

江戸時代に編纂された百科事典には、「牡丹餅および萩の花は形、色をもってこれを名づく」と記されているそうで、牡丹餅は小豆でくるんだ形が、春に咲く牡丹の花に似ているからその名がついた、という説もあります。

本当に似ているかどうかはさておき、正岡子規が俳人として活躍した明治時代には、すでにポピュラーだったと思われるお彼岸の牡丹餅。

すみえ弟子の高浜虚子(たかはま・きょし)も、こんな句を詠んでいます。

牡丹餅に夕飯遅き彼岸哉
(ぼたもちに ゆうはんおそき ひがんかな)

牡丹餅を食べておなかがいっぱいだから、夕飯の時間は遅くてもいいよね・・・という家族の会話が聞こえてきそうな句です。

まさに今、そんな気分だという方は、おいしい牡丹餅を食べられたのですね。


*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。

3月分は現在放送中に付き、もう少々お待ちください。


『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、

毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞に掲載されます。



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