香りの散歩道


秋の夜長を楽しむ


墨絵・朝野泰昌



秋風が吹くころになると、日に日に、夜が長くなるような気がしませんか。

「秋の夜長」を実感するのは、9月の秋分の日あたりから11月の立冬くらいまでの時期ではないでしょうか。
10月は、ちょうどその真ん中。
秋の夜長を愉しむには、ぴったりの季節です。

明治生まれの唱歌『虫のこえ』に、「秋の夜長を鳴き通す ああおもしろい 虫のこえ」という歌詞がありますが、こんな風に虫の鳴き声に耳を傾けるのもよし。

いえいえ、傾けるならグラスでしょう・・・と、お酒を呑みながら静かに語り合うもよし。
本が好きな方なら、心が落ち着くお香を焚いた部屋で、読みかけの本を開くのもいいですね。

そして、秋は月がきれいな季節でもあります。
明治の文豪・夏目漱石は、夜長の空に輝く秋の月の美しさを俳句にしました。

『明けたかと思ふ夜長の月あかり』

長い夜、漱石は何かに夢中になっていて、時が経つのを忘れていたのかもしれませんね。

『明けたかと思ふ夜長の月あかり』

皆さんは、月あかりを朝日と間違うほど夢中になれるものがありますか。
 
せっかくの秋の夜長です。気づけば冬になっていた・・・ということにならないよう、どうぞ心ゆくまで愉しんでくださいね。


*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。

10月分は現在放送中に付き、もう少々お待ちください。


『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、

毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞に掲載されます。



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