香りの散歩道


あなたの海は?


墨絵・朝野泰昌



潮風の香り、照りつける太陽と砂の匂い・・・海の季節がやってきましたね。

今日は、時をさかのぼって江戸時代、俳諧の巨匠たちが海を詠んだ句を紹介しましょう。
目の前にどんな景色が広がってくるのか、五・七・五の海の世界をどうぞお楽しみください。

まずは、小林一茶(こばやし・いっさ)の句から。

夏山や一足づつに海見ゆる (なつやまや ひとあしずつに うみみゆる)

緑の木々を分け入るように山道を登っていくと、一歩ずつ登るごとに視界が開け、海が見えてきた・・・。
それは、夏の日差しを浴びてキラキラ光る海かもしれませんね。

続いて、松尾芭蕉(まつお・ばしょう)の句です。

嶋じまや千々にくだきて夏の海 (しまじまや ちぢにくだきて なつのうみ)

「奥の細道」の旅の途中、松島で詠んだといわれる句です。
夏の海に、大小さまざまな島が散らばっているような景色が浮かんできませんか。

そして最後は、与謝蕪村(よさ・ぶそん)の登場です。
夏の海ではありませんが、蕪村の海の句といえばこれでしょう。

春の海終日のたりのたりかな (はるのうみ ひねもすのたり のたりかな)

「終日」は「一日中」という意味です。「のたりのたり」と寄せては返す波を日がな一日眺めている、なんとものどかな句ですね。

夏山や一足づつに海見ゆる
嶋じまや千々にくだきて夏の海
春の海終日のたりのたりかな

皆さんは、どの海を眺めてみたいですか。


*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。

7月分は現在放送中に付き、もう少々お待ちください。


『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、

毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞に掲載されます。



香りの散歩道TOPへ
 /  TOPへ  / 歳時記へ