香りの散歩道


「はるかぜ」と「しゅんぷう」


墨絵・朝野泰昌

春風(はるかぜ)や闘志いだきて丘に立つ

新しい目標や新しい生活がスタートする春に、勇気をもらえそうな俳句ですね。
「はるかぜ」を「しゅんぷう」と読んだほうが、この句にはふさわしいという説もあるので、もう一度聴いていただきましょう。

春風(しゅんぷう)や闘志いだきて丘に立つ

「はるかぜ」と「しゅんぷう」。皆さんは、どちらの読み方に闘志を感じましたか。

この句の作者は、昭和34年の今日4月8日に、85歳でこの世を去った明治生まれの俳人、高浜虚子(たかはま・きょし)です。

「虚子忌」にちなんで、春の代表作の一つを紹介しましたが、作者自身に読み方を尋ねることができないのは残念ですね。
高浜虚子は、生涯を通じて二十万句を超える俳句を詠んだといわれ、なかには香水を題材したものもあります。

香水に孤高の香りあらまほし

孤高とは、ひとりかけ離れて高い理想と志を保つこと。香水に孤高の香りがあってほしい・・・と願った高浜虚子の句です。

ただし、香水は夏の季語。虚子は季語を重んじたので、作者からは、「香りの番組とはいえ、春に香水の句を紹介するのはふさわしくない」と、お叱りを受けるかもしれませんね。
「どうぞお許しください」と手を合わせ、まだまだたくさんある名句に、思いを馳せてみたいと思います。


*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。


『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、

毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞に掲載されます。



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