旧暦の11月19日は「一茶忌」。
昨年、生誕250年を迎えた江戸時代の俳人・小林一茶が、65歳の生涯を閉じた日です。
一茶がこの世に残した俳句は、2万句にもおよぶと云われていますが、今日はその中から「香り」にちなんだ句をいくつか紹介しましょう。
梅が香(か)に障子開(ひら)けば月夜かな
梅の香りに誘われて障子をあけてみたら、見事な月が出ていた・・・という何とも風情のある句です。
同じ梅の香りを詠んだものには、こんな句もあります。
梅が香(か)やどなたが来ても欠け茶碗(ぢゃわん)
わが家の庭にも春が来て梅の香りが漂っているが、こんな貧しい暮らしでは、誰が訪ねて来ても欠けた茶碗しか出すことができない。
日々の暮らしをありのままに詠んだ、どこかユーモア漂うこの句のほうが、一茶らしい気もしますね。
また、お茶の香りも俳句にしています。
新茶の香(か)真昼の眠気転じたり
午後のけだるい眠気から、すっきり目覚めさせてくれるような、新茶のすがすがしい香りが伝わってきませんか。
こころを自由に遊ばせて、子どもや小さな生き物への慈愛に満ちた句を数多く残した小林一茶。
その暮らしには、季節の香りがやさしく漂っていたのですね。
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