香りの散歩道


つややかな美しさ



墨絵・朝野泰昌



「初春」という言葉に、心華やぐ一月。

着物姿で出かけたくなる、晴れの席がたくさんありますね。

初詣にはじまり、お茶の「初釜」や生け花の「初生け(はついけ)」。

「初聞香(はつもんこう)」や「聞香始(もんこうはじめ)」と呼ばれるお稽古始めには、着物を着る方が多いようです。

聞く香りと書いて「聞香」。
香道では、香りを嗅ぐことを、香りを「聞く」といいます。
この言葉には、お香の香りをただ嗅ぐのではなく、心を傾けてゆっくり味わう・・・という意味が込められているとか。

五感を研ぎ澄ましてお香の種類を聞き分ける、香道にふさわしい言葉ですね。

そうした繊細な香りを味わう場所ですから、お香の席ではしてはいけない約束事があります。
それは、自分が身につけている香りを持ち込むこと。
着物でおしゃれを楽しむときには、みだしなみとして匂い袋をしのばせる方も多いようですが、お香の席やお茶席では慎みましょう。

もちろん、そうした席を離れたときには、着物姿に合う香りを身にまとうのは、とても素敵です。
いつもは香水やオーデコロンをつけている人も、匂い袋などで「和」の香りを楽しんではいかがでしょう。

日本語の「香り」という言葉には、「つややかな美しさ」という意味があります。
TPOに合わせてそこはかとなく漂う香りは、あなたをきっと、より美しく演出してくれることでしょう。


*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。

1月分は現在放送中に付き、もう少々お待ちください。


*このコーナーは毎週水曜日に日本海新聞で掲載しています



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