香りの散歩道


風呂好きなローマ人


墨絵・朝野泰昌

古代ローマと現代の日本を、お風呂で結びつけた映画『テルマエ・ロマエ』をご覧になりましたか?

この映画の大ヒットによって、風呂好きなローマ人に親近感を覚えた人は多いのではないでしょうか。

 

古代ローマの風呂事情について調べてみると、入浴後には香りの油(あぶら)、「香油(こうゆ)」をカラダ中に塗る習慣があったそうです。

今でいう、ボディ・オイルですね。
そのため、市民の社交場でもあった巨大な公衆浴場には、香油を塗るための専用の部屋が用意されていました。

冷水のプールや蒸し風呂などに入って、汗や汚れをきれいに洗い流したあと、「ウンクツアリウム」と呼ばれるこの部屋で、香油を全身にすり込んだのだとか。

といっても、当時、香料はとても貴重なものでしたから、香油をたっぷり塗ってマッサージをしてもらうのは、裕福な人々の特権だったようです。

人気があったのは、バラやスイセンなど、花の香りがするオイル。
また、ユリの花やサフランなどから抽出した香油に、ハチミツを加えたオイルが流行したこともあったそうです。

ローマ貴族が公衆浴場に足しげく通ったのは、香油を塗るのが目的だったという説もあり、古代ローマでも香りは人々を虜にしていたようです。

皆さんも、湯上がりの肌には香りのいいボディ・オイルを塗って、ローマ貴族になった気分を味わってみませんか?


*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。

8月分は現在放送中に付き、もう少々お待ちください。

*このコーナーは毎週水曜日に日本海新聞で掲載しています



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