明日11月3日は「文化の日」です。
この番組で皆さんと分かち合っている「香りを楽しむ」ことも、大切にしていきたい日本の文化ではないでしょうか。
といっても、かしこまるのではなく、折りにふれ、普段の生活にさりげなく香りを取り入れてみる。 そんな楽しみ方ができたらいいですね。 平安時代の女流作家・清少納言が、日々の思いを綴ったエッセイ『枕草子』の中に、「心ときめきするもの」というくだりがあります。 雀の子を飼うことや、いいお香を焚いて一人で横になっていること。 そして、髪を洗い、お化粧をして、お香の薫りのしみた着物を着たときは、とくに見てくれる人がいなくても、心の中は「いとをかし」。 とても趣があり、心ときめくものだ・・・と清少納言は書いています。 誰に見せるわけではなくても、身だしなみを整え、香りのおしゃれを楽しむことは、平安の昔から女性の心を豊かにしてきたのですね。 女性に対して辛口といわれる鎌倉時代の文人・吉田兼好も、『徒然草』の中で、来客を意識したわけではない、お香の匂いが女性の家にしめやかに薫っているのは奥ゆかしい・・・と書いています。 秋の一日。 皆さんも自分のための香りを楽しんでみませんか。
*このコーナーは毎週水曜日に日本海新聞で掲載しています