香りの散歩道


薔薇ノ木ニ 薔薇ノ花咲ク


墨絵・朝野泰昌
春から初夏にかけて咲くバラの花は、その美しい姿と甘い香りで、私たちの心をなごませてくれます。

詩人の北原白秋(きたはら・はくしゅう)は、バラの香りについて、こんな言葉を遺しました。
「白薔薇はその葉を噛んでも白薔薇の香ひ(におい)がする。
その香ひは枝にも根にも創られている。
花とはじめて香ひが開くのではない。
白薔薇の香ひそのものがその花を咲かすのである」。


清純で気品のある白いバラに秘められた、力強い香りの魅力が伝わってきますね。
 
そして、『薔薇二曲(ばらにきょく)』という北原白秋の詩は、今も多くの人に愛されています。
白秋は、「薔薇の花が咲くのは実に驚くべき一大事ではないか。
この神秘はどこから来るのだろう。
これを驚く心があればこそ、哲学も詩も自然科学も生まれてくるのではないか・・・」。そんな思いを込めて、この詩を創ったそうです。
 
では、聞いてください。
北原白秋『薔薇二曲』

薔薇ノ木ニ
薔薇ノ花咲ク。

ナニゴトノ不思議ナケレド。

薔薇ノ花。
ナニゴトノ不思議ナケレド。

照リ極マレバ木ヨリコボルル。
光リコボルル。

この詩を世界中に咲くバラの花と、バラに心を寄せるあなたに捧げます。

皆さんもぜひ足を運んでみませんか。




*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。



*このコーナーは毎週水曜日に日本海新聞で掲載しています



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