香りの散歩道



西洋の香水と東洋のお香から生まれた「香水香」



墨絵・朝野泰昌
今日は「文化の日」。

太古の昔から人々を魅了してきた、香りの文化に思いを馳せてみませんか。

その昔、古代インドから東へ伝わった香り文化はお香や線香となり、西では香水や香油など液体を香らせる文化を発展させました。

そして、東と西で花開いた香り文化は、明治時代の日本で、再び奇跡の出会いを果たすのです。

文明開化の波に乗り、西洋から日本へやってきたものの中に、香水がありました。

夜ごと舞踏会が開かれたという鹿鳴館では、華やかなドレスと香水に身を包んだご婦人方が、西洋文化の香りを楽しんでいたようです。

それまでの日本のお香にはなかった、フローラルな香りの洗礼。
バラやスミレなど、香り高い花の香水に魅せられた日本人は、やがて、線香をつくる技術で「香水香(こうすいこう)」という新しいジャンルのお香を誕生させます。

西洋の香水と東洋のお香が、お互いの長所を引き立てあって生まれた、華やかさと深みのある香り。
香水香は、女性たちの心をまたたく間にとらえ、文明開化から大正浪漫、香りブームの現代まで長く愛されてきました。

香り文化の1ページを飾り、香りの可能性を広げてくれた香水香。
それを受け継ぐ日本人の感性は、これからどんな香りを誕生させるのでしょうね。



*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。


*このコーナーは毎週水曜日に日本海新聞で掲載しています



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