香りの散歩道



「おはぎ」と「ぼたもち」



墨絵・朝野泰昌
明日、9月23日は「秋分の日」。
祖先を敬い、亡くなった人を偲ぶ日です。

この日に「おはぎ」を食べるのは昔からの習わしですが、毎年のように「おはぎ」か「ぼたもち」か、その呼び名が話題になりますね。

秋のお彼岸には、萩の花に見立てた「おはぎ」という呼び名、春のお彼岸には、牡丹の花に見立てて「ぼたもち」と呼ぶ、という説が有名ですが、地方によって呼び名はいろいろ。

「おはぎ」と「ぼたもち」だけでなく、「隣知らず(となりしらず)」や「北窓(きたまど)」といった、謎解きのような名前も付けられています。
 
これらの呼び名は、作り方に由来しているとか。
ペッタンペッタンと派手な音を立てて搗くお餅とは違い、うるち米ともち米を混ぜて炊いたものを、米粒が残る程度に軽く潰して丸めるため、作っていることを隣の家に住む人も気づかない。
つまり、「隣知らず」というわけです。

同じく、いつ搗いたのか分からない“搗き知らず”を、お月様の月と書く“月知らず”にかけて、月が見えない北側の窓、「北窓」という洒落た名前も生まれました。

また、その昔、宮中に仕える女房が使いはじめた女房言葉では、おはぎのことを「やわやわ」とも呼ぶそうです。
いかにも、やわらかくておいしそうですね。
 
「おはぎ」「ぼたもち」「隣知らず」「北窓」「やわやわ」。ほんのり甘い香りが、あの世とこの世をむすぶ、お彼岸のお菓子です。



*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。



*このコーナーは毎週水曜日に日本海新聞で掲載しています



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