香りの散歩道


「源氏香と源氏物語絵」 


墨絵・朝野泰昌


 今年は、源氏物語千世紀。
今からちょうど一千年前の『紫式部日記』に、『源氏物語』にちなむ記述があることから、千世紀としてさまざまな記念行事が進行しています。

 その中から、源氏物語とゆかりの深い「香り」のデザインをテーマにした展覧会を紹介しましょう。
 京都文化博物館で開催中の『「源氏香(げんじこう)の世界」と「現代京都画壇による源氏物語絵」』。

 源氏香とは、数種類のお香を組み合わせて香りを聞き当てる香遊び、組香(くみこう)の一つで、香道の世界では代表的なものです。
その答えを表した52種類の図形「源氏香の図」は、日本の古典文様として器や着物、和菓子などのデザインにも使われています。
5本の縦線を基本としたシンプルな模様は、皆さんもきっとご覧になったことがあるでしょう。

 展覧会では、源氏香の図が流行した江戸時代の生活道具や絵画などを展示。
妖艶な美人画で知られる浮世絵師・渓斎英泉(けいさい・えいせん)作の「傘美人」には、源氏香の図を市松模様のようにデザインした、小袖をまとった女性が描かれています。
模様をよく見ると、すべて異なる源氏香の図が使われているのも見どころの一つです。
 京都画壇の日本画家54名が描いた物語絵も一堂に展示され、7月27日まで開催中の『「源氏香の世界」と「現代京都画壇による源氏物語絵」』。
雅びな香りの世界へ、お出かけになってみませんか。

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*毎週水曜日・FM山陰.他FMで放送中。
*このコーナーは毎週水曜日に日本海新聞で掲載しています。



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