香りの散歩道 |
平安時代の雅な香りを今に伝える『源氏物語』 |
墨絵・朝野泰昌 |
「源氏物語」そのフランス語版が、昨年の秋、フランスの出版社から美術本として出版されました。 原文に忠実なルネ・シフェールの翻訳に、12世紀から17世紀に描かれた520点もの源氏絵をカラーで掲載。 |
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これらの絵は、日本の寺院や美術館に収蔵されている作品だけでなく、海外に流出したものも数多く含まれています。日本を代表する王朝文学として世界的に有名な『源氏物語』ですが、この絢爛豪華な美術本が出版されたことよって、ますますファンが増えそうですね。 五十四帖からなる『源氏物語』は、主人公の光源氏を中心とした前半の物語と、光源氏亡きあと、「香り」にちなんだ名前が付いた二人の主要人物が登場する、後半の物語とに大きく分かれています。 その二人、匂宮(におうのみや)と薫君(かおるのきみ)は、どちらも、いい匂いがするいい男たち。ただし、「匂い」と「薫り」という言葉のニュアンスが違うように、二人は対照的な人物として描かれています。 匂宮は、いつも着物に焚き込めたお香の匂いを放ち、自由奔放で恋に対しても積極的。一方の薫君は、持って生まれたいい香りを体の中から漂わせる、繊細で悩み多き青年です。 この香りに関する日本語の微妙な違いが、フランス語版の『源氏物語』ではどのように伝わったのか‥‥。 香りを愛するフランスの人たちに、ぜひ聞いてみたいですね。 |
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