香りの散歩道


厄除けの木

墨絵・朝野泰昌


 香りには、科学では解明しきれないさまざまな力がありますが、その一つが厄除けのパワー。

 植物の香りで災いを遠ざける風習は、世界各地に伝わっています。
 ヨーロッパでは、玄関や窓辺にローズマリーを飾って魔除けに。
キリッとした強い香りがいつまでも続くことから、若返りのハーブともいわれています。
 北欧には、ナナカマドの木が嵐や雷から家を守ってくれるという伝説がありますが、日本の北海道でもナナカマドは厄除けの木。
昔は、家の中でナナカマドを焚き、その煙りで流行り病(やまい)などを防いだそうです。

 そして、お正月の飾りに使われるナンテンも、「難を転じる」という語呂合わせから、縁起のいい植物とされてきました。
ナンテンの赤い実、南天実(なんてんじつ)は、古くからせき止めの民間薬にも使われていますから、厄除け効果は語呂合わせだけではないはず。
縁起をかついで、玄関先にナンテンを植えている家も多いと思いますが、マンションなどでは鉢植えでもご利益がありそうです。

 年末の大掃除が終ったら、家族の健康と幸せを願って縁起のいい植物を飾り、すがすがしい香りとともに新年を迎えませんか。
 『香りの散歩道』、今年の放送は今日が最後になりました。
新しい年も、豊かな香りの世界へご一緒しましょう。
皆さまどうぞ良いお年をお迎えくださいませ。 


*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。



*このコーナーは毎週木曜日に日本海新聞で掲載しています



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