香りの散歩道


煤払いと年の湯

墨絵・朝野泰昌

「「年末年始は温泉で」と、ゆったりした年越しを望んでおられる方も多いことでしょう。

一年の垢をしっかり落として、新しい年を気持ちよく迎えるために、大晦日にお風呂に入ることを「年の湯」といいます。
お湯につかりながら、一年の出来事をしみじみ振り返ってみる。そんな時間を持てるといいですね。
「年の湯」で、人間が身も心もさっぱりするように、暮らしを支えてくれている住まいも、感謝を込めてきれいにしたいものです。

江戸時代には、毎年12月13日が、煤払い(すすはらい)の日と決められていました。
一年の間にたまった煤(すす)や埃(ほこり)を払い清める日です。
お城をはじめ神社仏閣、商家なども、この日に煤払いをしたため、まちじゅうが大掃除モードになっていたようです。
これなら、あれやこれやと予定を詰め込みがちな師走でも、大掃除を後まわしにすることはなかったでしょう。

当時の煤払いの様子を描いた浮世絵を見ると、ちょっとしたお祭り騒ぎのようです。
煤でカラダが真っ黒になるほど、よく働いたという証で、煤払いのあとは銭湯に行って汚れを落としたとか。
さぞかし、気持ちよかったでしょうね。

大きな商店などでは、湯上りの店員たちに、夜、ご祝儀のお酒がふるまわれることもあったそうです。
年神さまを迎えるための大掃除を、ちょっと楽しみなイベントにした先人の知恵は、私たちも見倣いたいものですね。


*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。

12月分は現在放送中に付き、もう少々お待ちください。


『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、

毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞に掲載されます。



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