香りの散歩道


被爆樹木の生命力


墨絵・朝野泰昌



こ緑の葉を揺らす風が、夏の匂いを運ぶ8月の朝。
広島の街は明日、75年目の原爆忌を迎えます。

昭和20年の8月6日、一瞬にして消えた街は、かつて「75年は草木も生えぬ」と言われていました。
爆風や熱線で、多くの草木が命を奪われたのです。

けれど、花も木も、生きることをあきらめませんでした。
黒焦げになったり、傾いたりしなながらも、瓦礫の中で根を張り続け、小さな緑の芽を吹き返した木。
切り株だけになっても、根元から若いヒコバエが生えてきた木・・・。

どんな困難も乗り越えようとする、たくましい被爆樹木の生命力は、くじけそうになった人々を無言で励ましてくれました。
「あきらめちゃあいけん。希望はある」と。

この番組を提供している朝野家がある湯村温泉も、『夢千代日記』を通して広島と深い縁を結んでいます。
『夢千代日記』は、広島で胎内被爆した宿命を背負いながら、母のあとを継いで芸者の置屋を営み、ひたむきに生きる主人公を吉永小百合さんが演じたドラマです。

ロケ地となった湯村温泉では、被爆アオリギの2世、3世の苗を譲り受けて大切に育ててきました。
また、広島平和記念公園の「平和の灯」から分けられた火が、「夢千代の祈り」というモニュメントの中で、光を灯し続けています。

人の温もりと心の平和を求めた夢千代の祈りは、湯村温泉を訪れる人々にも、きっと届くことでしょう。


*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。

8月分は現在放送中に付き、もう少々お待ちください。


『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、

毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞に掲載されます。



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