香りの散歩道


よもぎのチカラ


墨絵・朝野泰昌
 

先日、手づくりのおいしい草餅をいただきました。
口に広がる、ほろ苦いよもぎの香り。
春の野原を吹きわたる緑の風を、思い出させてくれる味でした。

よもぎは昔から、薬用や食用に利用されてきた日本の伝統的なハーブです。厄除けの草とも言われ、桃の節句の「ひし餅」や端午の節句の「かしわ餅」などに、よもぎの草餅が使われているのは、子どもたちの健やかな成長を願ってのことでしょう。

また、よもぎは、鍼(はり)とお灸(きゅう)で治療する、東洋医学の鍼灸(しんきゅう)にも欠かせません。
よもぎの葉っぱの裏には、白い綿毛があるのですが、それを集めたものが、お灸に使う「もぐさ」の原料です。

手間ひまかけて乾燥させたよもぎから、ほんのわずかしか採れない貴重なものだとか。
良質なもぐさほど香りがよく、火がつきやすくて、心地よい熱が持続するそうです。
ちなみに、粗悪なものは青臭い匂いがするので、香りでも品質の良し悪しが判断できそうですね。

東洋医学の鍼灸は今、世界の医療現場でも注目されはじめ、血行をよくして体の不調を整えるだけでなく、煙の匂いにリラックス効果が期待できることもわかっているとか。

はるか昔、よもぎのチカラに気づいた先人たちのおかげで、私たちは、その恩恵にあずかっているのですね。


*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。

4月分は現在放送中に付き、もう少々お待ちください。


『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、

毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞に掲載されます。



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