草木を渡る初夏の風が、緑の薫りを運んでくれる季節。
「風薫る」という俳句の季語を考えた先人の感性は、素晴らしいですね。
毎年4月15日から5月14日までは「みどりの月間」です。
さらに、旧暦の今日4月24日は、「日本の植物学の父」と呼ばれる牧野富太郎(まきの・とみたろう)博士が生まれた日。
それを記念して、今日は「植物学の日」という、アカデミックな記念日でもあります。
94年の生涯を植物の研究に捧げた牧野博士が、日本各地の野山を歩いて発見した植物や、名前をつけた植物は、2500種類にものぼるとか。
「雑草という名の草はない」と、牧野博士は言っていたそうですから、どんな植物にも名前をつけてあげたかったのかもしれませんね。
その中には、研究に没頭する博士を支え続けた妻、壽衛(すえ)さんの名前をつけた植物もあります。
「スエコザサ」という新種の笹で、博士がこの笹を発見したとき、妻は病の床に伏していました。
間もなく旅立った妻の墓碑には、博士が感謝を込めて詠んだ、こんな歌が刻まれています。
「世の中のあらん限りやスエコ笹」この世がある限り、スエコザサは青々と繁り、牧野博士の妻に対する思いも、永遠に消えることはなかったのでしょう。
初夏の光に輝く緑を眺めながら、みなさんそれぞれの胸に刻まれている、花や木の思い出を呼び起こしてみませんか。
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