今日は、二十四節気の「処暑」です。 処暑とは「暑さが止む」という意味で、暦の上では、夏の暑さが峠を越えてやわらいでくるころと言われています。 また、処暑を3つの時候に分けた言葉もあり、今の時候を表す言葉は「綿柎開(わたのはなしべひらく)」。 綿柎(わたのはなしべ)とは、木綿の原料になる綿花(めんか)のガクのことで、この時期になるとはじけるように開いて、中からふわふわの白い綿(わた)が顔をのぞかせます。 この不思議な植物のことを、その昔、ヨーロッパでは「羊の入った実がなる木」と呼んでいたそうで、木綿、つまりコットンは木のウールだと思われていたとか。 綿花のガクがはじけて白い綿が顔をのぞかせたとき、まるで小さな小さな羊が生まれたように見えたのかもしれませんね。 日本では、木綿が普及したことによって、庶民の暮らしが大きく変わったといわれています。 高貴な人や裕福な人は絹を身にまとうことができましたが、冬でも麻の衣類を着ていた人たちにとって、あたたかくて肌触りのいい木綿との出会いは、どれほどうれしかったことでしょう。 暑い時期には汗を気持ち良く吸い取ってくれ、寒い時期にはやさしい温もりをくれる・・・。 木綿は今でも、私たちの暮らしになくてはならないものです。 「綿柎開」とき。 額に汗して綿花を育て、糸を紡いできた先人たちに、思いをはせてみませんか。
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