香りの散歩道


信長の茶会記


墨絵・朝野泰昌



お客さまを招いて茶会を催すときには、道具の取り合わせや料理などを記録した「茶会記(ちゃかいき)」をしたためます。

亭主が自ら記録したものと、招かれた客が記録したもの、そして聞き書きの茶会記もあり、茶の湯の歴史を知る上で貴重な資料になっています。

先頃、戦国武将の織田信長(おだのぶなが)が、1574年に京都で催した茶会のものと思われる茶会記が発見されました。

使用した道具や、もてなした料理、参加者の名前などが記されていて、信長の茶頭(さどう)を務めた津田宗及(つだそうぎゅう)の自筆によるものとみられているとか。

津田宗及は千利休(せんのりきゅう)や今井宗久(いまいそうきゅう)とともに天下三宗匠(てんかさんそうしょう)と呼ばれた茶人です。

彼らに茶の湯の手ほどきを受け、名物道具を好んだ信長は、茶会をたびたび催していますが、現存する茶会記は意外に少ないのだとか。
今回の茶会記は、信長のものとしては82年ぶりの発見だそうで、茶の湯の世界では大きなニュースになりました。

料理の記録を見ると、イカやかまぼこなどの他に「餡(あん)つけ鱒(ます)」という珍しい料理が出されたようです。
魚の鱒に餡をつけたものでしょうか・・・。これまでの茶会記には見当たらなかったそうで、どんな料理なのか興味がわいてきますね。

440年の時を超えた信長の茶会記。これからまた、いろいろなことが明らかになることでしょう。


*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。

6月分は現在放送中に付き、もう少々お待ちください。


『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、

毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞に掲載されます。



香りの散歩道TOPへ
 /  TOPへ  / 歳時記へ