夏の思い出が一瞬にしてよみがえる。 そんな香りの記憶が、みなさんにもきっとあるでしょう。 大きなスイカを切ったときの、甘くてみずみずしい匂い。 夕立が去ったあとの、土の匂いや緑の匂い。 太陽を思いっきり浴びた、Tシャツや麦わら帽子の匂い。 なかには、線香花火の匂いを嗅ぐと、なぜか切なくなるという人もいます。 どっちが最後まで火花を散らせるか競争しようとか。 誰かと線香花火を見つめながら、言いたいことがあるのに言い出せないとか。 そのうち、赤い火の玉がぽとっと落ちて、あたりには匂いだけが漂っている・・・。 そんな切ない記憶のスイッチが入るのでしょうか。 ところで、花火の匂いのもとは火薬ですが、近頃は香りつきの手持ち花火もあるようです。 焦げたような火薬の匂いではなく、イチゴやチョコレート、カレーの匂いがする、おなかがすきそうな花火も。 みんなで遊んだら、切なさとはほど遠い、笑える思い出になりそうですね。 「いやいや、花火の匂いは、やっぱり切ないほうがいい」という方には、昔ながらの線香花火を。 火をつけて、激しく火花が散る姿は「松葉(まつば)」、火花が落ち着いてくると「柳(やなぎ)」、消える直前の姿には「散り菊(ちりぎく)」という、なんとも風流な呼び名まで付けられています。 そして、線香花火は消えたあとも、暗闇に香りの余韻を残してくれることでしょう。
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8月分は現在放送中に付き、もう少々お待ちください。
*『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、
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