香りの散歩道



大人のひな祭り


墨絵・朝野泰昌

 「大人のひな祭りだから、ちょっと優雅にね」
と、友人が桃の花をかたどった、桃の香りの印香(いんこう)をプレゼントしてくれました。

印香とは、粉末にしたお香を草花などの型に押し固めた、愛らしい香りの小物。

小皿や和紙の上にそのまま置いておくだけで、あたりにほのかな香りが漂います。

香りが薄くなってきたら
香立てに立てて火をつければ、再び香りが楽しめます。

ただし、花のかたちをした印香は、色とりどりの雛菓子のようにも見えて、直接火をつけるのはもったいない気がするかもしれませんね。

そんなときは、香木や練り香と同じように、灰の上にのせて間接的に熱を加える、空薫(そらだき)で香りを聞く方法もあります。

部屋にそのまま飾っておいて自然に漂う香り、火をつけたときの香り、空薫にして立ちのぼる香り…。

それぞれの微妙な違いを聞き分けるのも、印香を楽しむコツかもしれません。

桃の花言葉は、「素直な気持ち」 「チャーミング」「私はあなたのとりこです」。

桃の香りに包まれる、ひな祭りの一日。

少女の頃、ワクワクしながらおひな様を飾ったときの素直な気持ち、お内裏様に抱いたほのかな恋心を、そっと思い出してみませんか。




*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。


*このコーナーは毎週水曜日に日本海新聞で掲載しています



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