香りの散歩道


浮世絵を通して江戸の園芸文化


墨絵・朝野泰昌

 冬に咲く「初雪起こし」という花をご存じですか。

福寿草と同じキンポウゲ科の花で、明治時代に薬用植物として日本に伝来したといわれています。
お茶を嗜む方は、茶室に飾る冬の茶花(ちゃばな)としてもおなじみですね。

ご存じない方には、初雪起こしに付けられたもう一つの名前を紹介しましょう。
その名は、クリスマスローズ。

 イギリスではクリスマスの頃に咲くことから、そう呼ばれるようになったそうです。
日本でも、「クリスマスローズなら知っているわ」という方のほうが多いかもしれませんね。

寒さに強く、花の種類が少なくなる冬の庭で美しい姿を見せてくれるクリスマスローズには、こんな伝説があります。
羊飼いの少女が星に導かれて、生まれたばかりのイエス・キリストに会いに行くことになりました。
けれど、お祝いの贈り物をしたくても、雪が降り積もる冬の野原には、摘む花さえもありません。

そこに天使があらわれて、雪の下に純白の花が咲いていることを教えてくれたのです。
少女はそれを摘んで、キリストの生誕を祝福しました。
その純白の花が、クリスマスローズだったのです。

初雪起こしとクリスマスローズ。あなたの部屋にも、冬の香りを届けてくれるかもしれませんね。



*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。



*このコーナーは毎週水曜日に日本海新聞で掲載しています



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