香りの散歩道


「匂い線香」と「杉線香」


墨絵・朝野泰昌


 お盆が近づくと、ご先祖様に供えるお線香を新たに買い求めるお宅も多いでしょう。

日本のお線香は、原料によって「匂い線香」と「杉(すぎ)線香」の2種類に分けられます。


 「匂い線香」は、閨iたぶ)の木の皮を粉末にしたものに、白檀(びゃくだん)や沈香(じんこう)などの香木や香料を加えて作る、香り豊かなお線香。

材料の質や調合の仕方によって、さまざまな香りを生みだすことができます。
家庭で使われているのは、ほとんどがこの「匂い線香」でしょう。

一方の「杉線香」は、その名の通り、杉の葉っぱを粉末にしたものが主な原料です。
杉の香りが強く立ちのぼるお線香で、お墓参りなどに使われます。

「杉線香」の主な産地、栃木県の日光市は、世界に誇る杉のまち37キロメートルにも及ぶ特別天然記念物の日光杉の並木道があり、世界一長い杉並木としてギネスブックにも登録されています。

手間ひまかけて杉の葉を水車で挽く、昔ながらの製法にこだわる作り手もいて、近頃は、日本の木で作った日本の香りとして見直されているそうです。

「匂い線香」と「杉線香」。皆さんはどんな香りで、ご先祖様をお迎えしますか。


*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。

8月分は放送中につき、もう少々お待ちください

*このコーナーは毎週水曜日に日本海新聞で掲載しています



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