香りの散歩道


花の香りで季節を知る 


墨絵・朝野泰昌

 
 奈良県の壺阪寺(つぼさかでら)に、日本で初めて、目の不自由な人たちのために作られた植物園があります。

香り高い樹木や草花を集め、一年中花の香りが漂うこの植物園は「匂いの花園」と名づけられ、昭和33年に誕生しました。


 春は沈丁花や桜、夏は山梔子(くちなし)、秋から冬にかけては金木犀や梅など、四季折々に豊かな香りを放つ植物がおよそ50種類。
 なかには、昔から目の病を治すために使われてきたという、目薬の木も植えられています。 

園内をめぐる歩道には手すりが設けられ、そこには植物の名前が点字で書かれています。
「ここに、こんな植物がありますよ」と、来園者に立ち止まって香りを楽しんでもらえるよう、工夫されているのですね。

壺阪寺は古くから、目の病を癒してくれる観音さまのお寺として知られており、この「匂いの花園」は、ニューヨークのブルックリン植物園に目の不自由な人たちのための花園があることを知った住職が、「ぜひ日本にも」と作ったのがはじまりでした。

そのブルックリン植物園は、桜の散歩道があることでも有名です。
毎年4月から5月のはじめにお花見を楽しむことができ、「サクラマツリ」という日本語をそのままタイトルにしたイベントは、ニューヨーカーに人気の春の風物詩。今年は5月2日から3日にかけて開催されるそうです。 

花の香りで季節を知る。その喜びは世界共通なのですね。


*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。



*このコーナーは毎週木曜日に日本海新聞で掲載しています



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