香りの散歩道 |
墨絵・朝野泰昌 |
森や野原を自由にはばたき、美しい声でさえずる鳥の姿を観察するバードウォッチング。 5月10日から16日までの「愛鳥週間」に、初めて体験する方もいらっしゃるでしょう。 19世紀にイギリスで始まったといわれるバードウォッチングを、日本に広めた功労者がいます。 明治生まれの文学者で、鳥の研究者でもあった、中西悟堂(なかにし・ごどう)です。 「野の鳥(ののとり)は野に」という思いから、昭和9年、日本野鳥の会(にほんやちょうのかい)を設立。 野の鳥と書いて野鳥と読む、この言葉は、中西悟堂が広めた造語だといわれています。 当時、籠の中の鳥を愛でる愛鳥家は、日本にもたくさんいました。 けれど、自然の中にいる鳥を観察して、ありのままの姿や鳴き声を愛でる人は、ほとんどいなかったとか。 そこで、欧米流の観察方法を体験しようと、中西悟堂は日本初のバードウォッチングを富士山の須走口(すばしりぐち)で開催しました。 その会には、鳥の研究者だけでなく、詩人の北原白秋(きたはら・はくしゅう)や民俗学者の柳田國男(やなぎだ・くにお)、言語学者の金田一京介(きんだいち・きょうすけ)などの文化人も参加したそうです。 それから90年の時が流れ、「野の鳥は野に」という中西悟堂の思いは、野鳥の保護活動となって受け継がれています。 バードウォッチングを通して、ありのままの鳥を愛する人が増えるといいですね。 |
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毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞に掲載されます。 香りの散歩道TOPへ / TOPへ / 歳時記へ |