香りの散歩道


卵焼き

墨絵・朝野泰昌
「朝野家 香りの散歩道」
この番組は、山陰 湯村温泉、朝野家の提供でお送りします。

今日のお相手は、私、木村匡也です。
あなたの家の卵焼きは、甘いですか?塩あじですか?それとも、ふわふわの出汁巻きですか?

「お弁当のおかず」の人気ランキングでは、必ずと言っていいほど上位に名前があがる卵焼き。
お弁当箱の蓋を開けた瞬間、目に飛び込んでくる黄色が、食べる前から「おいしいよ」と言っているようです。

時をさかのぼって、花見や芝居見物が庶民の娯楽になった江戸時代。
卵焼きは、特別な日のお弁当に欠かせないものでした。
重箱に卵焼きとかまぼこを詰めて、いそいそと出かけたそうです。

日持ちがするかまぼこは、お弁当のおかずにぴったり。
そして、砂糖がとても貴重だった時代ですから、甘みをきかせた卵焼きは、贅沢なごちそうでした。

『長屋の花見』という落語にも、卵焼きとかまぼこの花見弁当が登場します。
酒と肴はすべて大家が用意すると言うので、喜んで上野の山へ桜見物に出かけた長屋の住人たち。
ところが、蓋を開けてみると、黄色いたくあんを卵焼きに見立て、かまぼこは、白い大根をそれらしいカタチに切ったもの。
酒は番茶を薄めたもので、住人たちはがっかり。
そのうえ、まわりの花見客にニセ物だと気づかれないよう、「ぼりぼり音を立ずに食べろ」と言われ、四苦八苦する話です。

たくあんを、なんとか歯に当てないようにして噛もうとしたり、丸のまま飲みこんでのどに詰まらせたり‥‥。
番茶で酔っぱらったふりをするのも、ひと苦労です。
そんな花見で笑える江戸っ子たちは、遊び上手なのかもしれませんね。

さて、みなさんは、どんなお弁当なら気分が上がりそうですか。

「朝野家香りの散歩道」この番組は、山陰 湯村温泉、朝野家の提供でお送りしました。


*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。


『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、

毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞に掲載されます。



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