香りの散歩道 |
墨絵・朝野泰昌 |
春先のお天気は気まぐれですが、そろそろ冬のコートをしまって、軽やかな春の装いで出掛けたくなりませんか。 大切な衣類を虫から守ってくれる防虫剤は、その昔、天然の樟脳(しょうのう)が使われていました。 原料は、古くから防虫効果のある木として親しまれてきた、クノスキです。 樟脳といえば、鼻にツンとくるような匂いを連想されるかもしれませんね。 けれど、クスノキの成分だけで作る天然樟脳は、森林浴を思わせる香りがすることをご存じですか。 最近は、リフレッシュ効果が期待できるとも言われています。 また、揮発性が高いので、衣類についた匂いも、風通しの良い場所で空気にさらしておけば、ほとんど気にならなくなるでしょう。 クスノキで作る天然樟脳は、かつて日本の特産物でした。 16世紀の半ば、織田信長の時代にはすでに、日本で製造した天然樟脳を海外に輸出していたそうです。 江戸時代には、生糸(きいと)と並ぶ重要な輸出品でしたが、昭和の高度経済成長期になると、化学合成品が盛んに作られるようになりました。 今では、貴重なものになった国内産の天然樟脳。 その伝統的な製法を、地元のクスノキを使って守り続けている人たちもいます。 機会があれば、植物の底力を実感できる、天然樟脳の香りと防虫効果を試してみませんか。 |
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毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞に掲載されます。 香りの散歩道TOPへ / TOPへ / 歳時記へ |