香りの散歩道 |
墨絵・朝野泰昌 |
「朝野家 香りの散歩道」 この番組は、山陰 湯村温泉、朝野家の提供でお送りします。 今日のお相手は、私、木村匡也です。 |
今からちょうど170年前の3月30日、画家のフィンセント・ファン・ゴッホが、オランダで産声をあげました。 『ひまわり』や『夜のカフェテラス』など、ゴッホの名画は世界中で愛されていますが、日本の浮世絵に影響を受けた作品も多いと言われています。 その一つが、アムステルダムのゴッホ美術館にある『花咲くアーモンドの木の枝』という絵です。 春になると、桜のような花を咲かせるアーモンドの木。 ゴッホは、青い空を背景にして、この木の枝をまるで踊っているような線で描(えが)いています。 この絵は、弟のテオに長男が生まれたとき、誕生祝いに贈ったものです。 生きている間は、ほとんど作品が評価されず、富や名声には恵まれなかったゴッホを、生涯支えたのは弟のテオでした。 美術品を売り買いする画商だったテオは、兄の作品を買い取り、経済的にも精神的にも支援していたのです。 そして、生まれたばかりの自分の息子に、兄と同じ「フィンセント」という名前をつけました。 そのことを手紙で知らされたゴッホは、「言葉にならないほどうれしい」と、すぐに返事を出して、アーモンドの花の絵を描(か)き始めたとか。 新しい命の誕生を喜びながら絵筆を走らせた、この絵を贈られた甥っ子は、のちにゴッホ美術館の建設に力を尽くすことになるのです。 ゴッホ生誕170年の今年も、家族の絆を深めたアーモンドの花は、絵の中で咲きつづけています。 |
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毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞に掲載されます。 香りの散歩道TOPへ / TOPへ / 歳時記へ |