香りの散歩道


融通無碍


墨絵・朝野泰昌

師走の街を歩いているとき、あるお寺の前で「融通無碍(ゆうずうむげ)」という文字に目が止まりました。

「融通無碍」とは、どんなことにも臨機応変に対応できて、行動や考え方に何の障害もなく、自由自在でのびのびとしているという意味だとか。
「融通がきく」という言葉は、ここからきているそうです。

そして、この「融通」と柑橘類の「柚子」を掛けた、掛け詞によって生まれた風習があることをご存知でしょうか。

一年で最も夜が長い「冬至」の日に、柚子を浮かべた「柚子湯」に入ると、融通がきいて何ごともなく健やかに過ごせるという、昔ながらの言い伝えです。
また、冬に至ると書く「冬至」と、温泉につかって治療をするという意味の「湯治」も掛け詞になっています。

二重の掛け詞で無病息災を願う。
日本人は、言葉で縁起を担ぐのが上手で、好きなのでしょうね。

そして、言葉のチカラだけでなく、香りのチカラも、冬至の日の風習にひと役かっています。
柚子の皮に含まれるリモネンなどの香り成分は、血行をよくする働きやリラックス効果も期待できるので、慌ただしい師走の疲れを癒してくれることでしょう。

今年の冬至は、12月21日。
来週の月曜日です。
思いがけないことが、いろいろあった2020年の終わりに、融通無碍と無病息災を願って。
冬至の日には、ゆったりと「柚子湯」につかりませんか。


*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。

12月分は現在放送中に付き、もう少々お待ちください。


『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、

毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞に掲載されます。



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