今年、生誕250年を迎えた小林一茶(こばやし・いっさ)。江戸時代を代表する俳人の一人ですが、庶民の暮らしに寄り添う一茶の句には、今もファンが多いようですね。
一茶の生きた時代にも、年の瀬の行事はたくさんありましたが、12月13日はお城の煤払(すすはらい)をする日と決められていました。
庶民もそれにならって、新年を清々しく迎えるために、一家総出で家の壁や天井についた煤を払うのが、師走の風物詩だったとか。
そんな慌ただしい大掃除も、一茶の手にかかるとこんな句になります。
我家(わがいえ)は団扇(うちは)で煤をはらひけり
団扇でちょちょいと、煤払をすれば済むような家に住んでおります・・・ということでしょうか。
なんとも肩のチカラの抜けた句ですね。
また、お節料理の準備をしたり、松飾りなどを買いに行く「年用意(としようい)」という季語では、こんなほほえましい句も詠んでいます。
一袋(ひとふくろ)猫もごまめの年用意
猫のお節はどうやら、田づくりともいう「ごまめ」のようですね。
そして、いよいよ一年を締めくくる一茶の句です。
ともかくもあなた任(まか)せのとしの暮(くれ)
「あなた」というのは阿弥陀如来のこと。
どのようにでも、阿弥陀様にすべておまかせしますという、一茶57歳のときの句です。
今年、皆さんはどんな気持ちで、年の暮れを迎えたいですか。
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