香りの散歩道



江戸っ子たちの歯磨き



墨絵・朝野泰昌
 新入学生や新社会人など、春は新しい舞台にデビューする人が多い季節ですね。

第一印象を左右する身だしなみ、特に、さわやかな笑顔の決め手となる毎朝の歯磨きは、念入りにしませんか。

見た目の清潔さだけでなく、歯磨き粉の香りでシャキッと目が覚めて、一日を気持ち良くスタートできるでしょう。



その昔、清潔な身なりを粋としていた江戸っ子たちも、歯磨きにはうるさかったようです。

愛用していたのは、房楊枝(ふさようじ)と磨き粉。

房楊枝は、柳の小枝の先をたたいて房のようにした歯ブラシで、柄の部分を使って舌の汚れも削ぎ落としていたそうです。

この時代から、日本人のデンタルケアは念入りだったのですね。

そして、磨き粉は塩や細かい砂に香料を混ぜたもので、香りの良い磨き粉が人気だったとか。

白い歯と口臭のないきれいな息は、昔も今も、出会った人に好印象を与える大切な条件に変わりないようですね。

庶民の間でも歯磨きブームが巻き起こった江戸時代、房楊枝や磨き粉を売る店には看板娘がいて、店先でにっこり笑ってきれいな歯を見せ、売上げを競っていました。

その様子を詠った、こんな川柳も残っています。

「白い歯を 見せれば売れる 楊枝見世(ようじみせ)」 

粋な江戸っ子たちに負けないように、まずは毎日の歯磨きから、清潔感のある身だしなみを心がけたいですね。




*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。



*このコーナーは毎週水曜日に日本海新聞で掲載しています



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