香りの散歩道


桐の花


墨絵・朝野泰昌

今日のお相手は、私、木村匡也です。

掛け軸、着物、茶道具、そして、へその緒。
大切なものはみんな「桐の箱」に入っている。

そのことに気がついたとき、数ある樹木の中で、なぜ桐なのか。
不思議に思いませんでしたか。

桐は、木材になっても、まるで呼吸をしているように、湿度を調節するチカラを持っています。
つまり、湿気に強い。

天然の香り成分によって、虫がつくのを防いでくれるのも、ありがたいですね

こうした特性を知り尽くした先人が、大切なものを保管する役目を、桐の箱に託したのです。

そんな桐の木が、花を咲かせるのは、ちょうど今ごろ。
小さな釣鐘のカタチをした紫色の花で、500円硬貨の図柄にもなっています。

えっ?あれって、桐の花だったの?」という声も聞こえてきそうですが、日本人にとっては古くから馴染みのある花。

明治生まれの文学者・北原白秋は、初めての歌集に『桐の花』というタイトルをつけ、恋しい人を想って、こんな歌を詠んでいます。

さしむかひ(い)二人暮れゆく 夏の日のかは(わ)たれの空に 桐の匂へ(え)

薄暗い夏の空に、甘い桐の花の匂いがほのかに漂っている・・・。
二人の恋の行方が、なんとも気になる歌ですね。
みなさんも、どこかで桐の花が咲いているのを見かけたら、
白秋が心をふるわせた香りを、ぜひかいでみてください。


*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。

5月分は現在放送中に付き、もう少々お待ちください。


『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、

毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞に掲載されます。



香りの散歩道TOPへ
 /  TOPへ  / 歳時記へ