今から110年前。
明治44年の今日2月10日に、日本初の西洋式劇場が完成したことをご存知でしょうか。
舞台芸術を愛する人々から「帝劇」という呼び名で親しまれている、帝国劇場の誕生です。
その年の3月1日に開場式が行われ、劇場建設の発起人には、そうそうたる財界人が名を連ねていました。
会長を務めたのは、当時の日本経済を牽引していた実業家で、その功績が今また注目されている渋沢栄一(しぶさわ・えいいち)です。
「帝国」という名を持つ劇場ですが、国営ではなかったのですね。
関係者たちが帝国劇場に求めたことは、外国から賓客を迎えた際に、日本の伝統芸能を堂々と紹介できる場にすること。
そのため、西洋建築でありながら歌舞伎などが上演できる、和洋折衷の劇場になったそうです。
そして、日本の舞台芸術を発展させる拠点になることや、近代的な劇場経営の模範となることも期待されていました。
「今日は帝劇、明日は三越」という宣伝文句も、一世を風靡したと伝えらえています。
110年の長い歴史の中には、関東大震災による建物の焼失や、太平洋戦争中の閉鎖など、苦難の時代も刻まれています。
けれど、帝国劇場が灯したエンターテインメントの火は、消えることはありませんでした。
香り高い舞台芸術の殿堂として、これからも素晴らしい舞台を生み出してもらいたいですね。
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