香りの散歩道


あまい、あまい、あーまーざーけー


墨絵・朝野泰昌



日本には、昔ながらの暑気払いの知恵がたくさんありますね。
冷房のなかった時代に、夏バテを防ごうと工夫されたものは、暑さが厳しい今の暮らしにも、きっと役立つでしょう。

たとえば、古くから滋養のある飲み物として親しまれてきた「甘酒」も、その一つ。俳句の世界では、夏の季語にもなっています。

天然の甘みと香りが口いっぱいに広がるこの甘酒を、江戸時代は冷やして売り歩いていたとか。
「あまい、あまい、あーまーざーけー」。
甘酒売りの声は、江戸の街に響きわたる夏の風物詩でした。

冬の甘酒は、体の芯まで温まるよう熱々にして、夏は冷やすことで体に溜まった熱をしずめる。
そんな工夫をして、暑さや寒さに負けない体をつくろうとしたのですね。

甘酒は今でも「飲む点滴」と呼ばれていますから、口に入れやすいもので栄養をとることが、夏を乗り切るチカラになると、先人たちは知っていたのでしょう。

しかも、当時の人々にとって、逃れようのない暑さから身を守り、無事に夏を越すことは、私たちが想像するよりも、はるかに大変なことだったとか。
江戸幕府もそれを承知していて、誰でも甘酒が飲めるように販売価格の上限を決めていたそうです。

令和の時代の暑気払いにも、先人の知恵が生んだ体にやさしい栄養ドリンク、甘酒のチカラを借りてみませんか。


*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。

7月分は現在放送中に付き、もう少々お待ちください。


『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、

毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞に掲載されます。



香りの散歩道TOPへ
 /  TOPへ  / 歳時記へ