香りの散歩道


う尽くし


墨絵・朝野泰昌



この夏を、元気に乗り切るために食べたいもの。
皆さんは、どんな料理を思い浮かべますか。
今年の「土用の丑の日」は、7月21日を「一の丑」、8月2日を「二の丑」の二回あります。
そう聞いただけで、蒲焼きの匂いが漂ってきそうですね。

けれど、土用に鰻を食べる風習は、江戸のまちから広まったそうで、上方などでは馴染みのないものだったとか。

その上方から江戸にやって来た、澪(みお)という名の女料理人が主人公の時代小説『みをつくし料理帖』には、一風変わった土用の料理が登場します。

うんざりするような暑さを忘れられる料理で、お客さんに喜んでもらいたい。
けれど、鰻は値が張るので、もっと手頃で滋養のつくものはないか・・・と、澪が思いついたのは、鰻ではなく「う」という言葉がつく料理を集めた「う尽くし」の膳でした。

澪が作る土用の料理を楽しみにやって来た、お客さんの前に運ばれたのは・・・酢でしめたアジをおからで和えた「卯の花和え」。
豆腐に梅干しをはさんで揚げた「梅土佐豆腐(うめとさどうふ)」。
トウガンにとろみをつけた「瓜の葛ひき」。
土用しじみを埋(うず)めた「埋め飯(うずめめし)」。

工夫を凝らした「う尽くし」の料理を食べた常連客は、こんな褒め言葉を澪に贈りました。
「目に美し、口にして旨し、心に嬉し。これこそ、まさに『う』尽くしです」。粋な言葉遊びで笑い合う、これもまた暑気払いになりそうですね。


*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。

7月分は現在放送中に付き、もう少々お待ちください。


『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、

毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞に掲載されます。



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