この番組で、たびたび口にする「匂い」と「香り」という言葉。 みなさんは、それぞれの由来をご存知でしょうか。 実は、この2つの言葉はもともと、鼻で感じる嗅覚を表すものではありませんでした。 「匂う」は本来、「色が美しく映える」という意味の言葉で、『万葉集』の時代には、花が美しく色づくことを、「咲きにほふ」と表現しました。 それが転じて、色彩だけでなく、香りが目立つという意味にも使われるようになったとか。 いずれにしても、好ましいものに対する褒め言葉だったのですね。 一方の「香り」は、煙や霧などが立ちこめて、あたりに気が漂うことを意味する言葉でした。 また、顔立ちが美しく、艶やかな人を形容するときにも、「香る」という言葉を使ったそうです。 これらの由来については、さまざまな説があるようですが、「匂い」が色について語る言葉で、「香り」が漂う気や人の容姿などを表す言葉だったとしたら・・・昔の人々は、嗅覚を表現するために、どのような言葉を使ったのでしょうか。 その代表が、香りの「香(か)」と書く、一文字、一音節の言葉だったそうです。 主に植物の香りについて使われ、なかでも梅の花や橘(たちばな)の香りは、「梅の香(うめのか)」「花橘の香(はなたちばなのか)」と、もてはやされたそうです。 こうして、香りにまつわる言葉に思いを馳せると、なんだか幸せな気分になりませんか。
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10月分は現在放送中に付き、もう少々お待ちください。
*『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、
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