香りの散歩道


夜廻り猫


墨絵・朝野泰昌



夜風が思いがけないほど冷たい日は、心をあたためてくれるような物語が恋しくなりませんか。
そんなとき、ページを開いてみたくなる漫画があります。

涙の匂いがする所に人知れず現れる、遠藤平蔵(えんどう・へいぞう)という名前の猫が主人公の漫画『夜廻り猫(よまわりねこ)』です。

人気漫画家の深谷かほる(ふかや・かおる)さんが、入院した息子のために描いた8コマ漫画で、ツイッターに載せてみたところ、予想もしなかったような反響があり、昨年の夏には単行本になりました。

頭の上に缶詰をのせ、半纏を羽織った、ちょっと強面の猫。
遠藤平蔵が、まるでナマハゲのように「泣く子はいねが??ひとりで泣ぐ子はいねが??」と言いながら夜廻りをするのですが‥‥「む。涙の匂い」とかぎつけたら、相手が誰であろうと、そっと寄り添うのです。

たとえ「泣いていないよ」と言っても、「いや、心で泣いておろう」と、つらい思いや切ない思いをしている人の話を聴き、ときには一緒に呑んだり、笑ったり‥‥。

励ますような言葉もかけず、ただじっと見守っているだけのときもあるのです。
「そこがいい」と共感する人が多く、自分も遠藤平蔵に寄り添ってもらいたい‥‥という声も。

今年、第21回手塚治虫文化賞の短編賞も受賞した、深谷かほるさんの『夜廻り猫』。
自分の心の中に涙の匂いを感じたら、そっと開いてみませんか。


*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。

11月分は現在放送中に付き、もう少々お待ちください。


『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、

毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞に掲載されます。



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