香りの散歩道


日本の植物分類学の父・牧野富太郎


墨絵・朝野泰昌

今年は、「日本の植物分類学の父」と呼ばれる牧野富太郎(まきの・とみたろう)博士の生誕150年です。

1862年、現在の高知県に生まれ、独学で植物学を志した博士は、94年の生涯で40万枚もの標本を採取しました。

そして、日本人として初めて学名をつけたヤマトグサや、新種の笹を発見して亡き妻の名前をつけたスエコザサなど、1500種類以上の植物の名づけ親としても知られています。
 
また、牧野博士は植物に関する数多くの著書を残していますが、その中に『植物一日一題(しょくぶついちにちいちだい)』というエッセイがあります。

太平洋戦争が終わった一年後、昭和21年8月17日から一日一題、植物の生態や名前の由来などについて書き記し、これを百日間欠かすことなく続くけたものです。
 
百日目に書いた百題目のタイトルは「冬の美観ユズリハ」。冬に美しく茂るユズリハの話です。
 
正月にユズリハを飾るのは、親は身代(しんだい)を子に譲り、子はまた孫に譲り、そうして子々孫々、一家を絶えさせないようにという祈りが込められていること。

古い葉っぱが若い葉っぱに、その場を譲るように落葉する、ユズリハの性質に親と子の姿を重ね合わせもので、博士は「この点からみるとユズリハは芽出度い木である。松竹梅に伴わさしてもよかろう。」と書いています。
 
当時、牧野富太郎博士は84歳。博士の家の庭にも二本のユズリハの木があり、冬にはその葉が美しく茂る様子を眺めていたそうです。


*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。



*このコーナーは毎週水曜日に日本海新聞で掲載しています



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